開発概要

開発の背景

 近年、空港の滑走路、誘導路、エプロンの舗装は航空機の大型化や運行回数の増加から、損傷の度合いや規模が著しく大きくなり、補修が頻繁に行われる という事態に陥っています。そして、埋立地等の軟弱地盤上にある空港や港湾では、上記の交通荷重の作用に加え、地盤の不同沈下によって広い範囲で補修が繰返し行われている事例も見られます。これらの舗装区域では他の施設を確保するといった代替措置を講ずる事が実質的に不可能である事から、その補修工事においては耐久性の高い方法ならびに工事の迅速性が求められておりました。
  その問題点を解決するべく、高耐久で施行性に優れ維持管理の容易な技術を開発しました。この技術は、高強度PRC版をコッター式継手で連結する事で、耐久性が格段に優れた任意の広さのコンクリート舗装を構築できるものです。又、規模の大小を問わずに急速補修が可能となります。

01 課題の抽出

 高強度PRC版舗装の空港への適用を図るにあたっては、可能な限り既存の設計法を踏襲することを考え ました。そのため、高強度PRC版、コッター式継手のそれぞれについて、以下の点について検討する必要がある事がわかりました。
 高強度PRC版については、設計法として空港舗装構造設計要領(国土交通省)に記載されているPC版に関する方法を踏襲することの妥当性と、路盤以下の構造健全度を航空機荷重が作用したときのたわみに注目して検討することの妥当性であり。また、コッター式継手については、設計法として空港舗装構造設計要領に記されているダウエルバーのものを踏襲することの妥当性であります。これに加えて、ボルト締付けの施工管理方法も課題でありました。

02 検討方法

 上記の課題については、小型供試体を用いた試験による基本的な検討を実施してから、試験舗装によって 詳細に研究することとしました。これにより開発した新技術を空港における実際の工事へ適用することによって検証を実施しました。
 小型供試体を用いた試験においては、厚さや構造が実大規模に近い小型供試体を用いて、高強度PRC版とコッター式継手の性能について個別に検討しました。また、試験舗装においては、実大規模の試験舗装版を製作し、地下水位を高くした状態で航空機荷重の繰返し走行を実施して、高強度PRC版舗装の総合評価を行いました。そして、最終段階として、高強度PRC版舗装による補修工事を福岡空港の誘導路にて実施 し、大型航空機の繰返し走行に対する耐荷性、耐久性ならびに安全性を確認しました。

ページ上部へ